事業の強みと見通し

■ オンキヨーの強み


国内AVメーカーの老舗。オーディオ業界では一応ブランドがある。車載用音響のOEM事業など、同業他社がやっていない、オリジナリティを生かした商品やサービスを打ち出す挑戦的な気質がある。ホームシアターやアンプ・スピーカー内蔵のテレビ台は同社が先駆けであり、ほかにもオーディオとパソコンの融合に取り組んだり、最近ではハイレゾ音楽配信での先駆者となっている。


■ オンキヨーの弱み


オーディオ業界として市場が縮小していることが最大の弱み。買収したソーテックのパソコン事業では中途半端にボリュームゾーンに手を出して失敗したことなど、非オーディオ分野での事業失敗の影響を引きずっている。オンキヨーグループ全体として何か新しい発想が必要だが現時点では現存の製品をブラッシュアップするのが精一杯。技術力、営業力、資金力が無く、結局本業回帰になってきているように見受けられる。近年の業績悪化に伴い、若手社員が大量に退職しており、人材不足。

製品の質(音質、完成度)はハイレベルであるがマーケティング面、広告や販売方法などが非常に下手だと言われている。商品においても現場(消費者)の意見を重視するよりも製品企画者の考えの押し売り傾向がある。


■ オンキヨーの抱える課題と事業展望


オーディオ業界が全体的に縮小しており、今後も回復することは100%ありえない。その状況を打開するためにソーテックを買収しPC事業に乗り出したが完全に失敗し、今はPC事業は本体から切り離して無かったことになっている。それに代わる事業の柱がまだ作れていないことが大きな課題。

音楽のライフスタイルが多様化し、一大マーケットを形成するような突出した商品ジャンルは将来的に期待できない。ヘッドホンやカーオーディオといった既存のオーディオ市場で、さらには補聴器や楽器といったオーディオから派生した市場で、経験とブランドを生かしてどれだけ勝負できるかがカギ。ハイレゾ対応のスマホ「GRANBEAT」もその一例。また、コンシューマー向けの高級スピーカーは世界規模で需要が減っているので、今後は法人向けのビジネスが増えていく可能性が高い。

最近では積極的にM&Aや、知名度の高い同業大手との提携がなされている。ティアックやパイオニアのオーディオ部門(パイオニアホームエレクトロニクス)と統合し、またカワイ楽器とも資本提携を行い、生き残りを図っている。

海外展開を積極的におこなっており、中国を中心としてアジアでの製造から、北米、欧州での販売まで広く展開しており、フィードバックとして日本での製造をより確かなものへ築いている印象。


■ オンキヨーの競合会社


ヤマハ(ヤマハ株式会社)
AV製品で最大のライバル。特にホームシアター。各種広告媒体などをフル活用し、商品を何段階も格上げして消費者に見せるなど、販売戦略が上手い。ユーザーに一番近い各販売店においてヤマハブランドは人気がある。

デノン(株式会社ディーアンドエムホールディングス)
以前は眼中に無い存在だったが、今となっては完全に負けた。製品デザイン、コンセプトが依然と比べて明らかに改善されている。製品の使いやすさ、使い勝手など洗練されていない部分はあるが、専門店などでは人気が高い。2チャンネルオーディオも真面目に手がけており根強いファンが多く見られる。

その他、東京に本社のある「株式会社オーディオテクニカ」はヘッドホンなどの音響機器で有名(但し非上場)。

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