オンキヨー、事業売却中止、家庭用オーディオ、OEM戦略見直しへ(2019/10/07)

 オーディオ機器大手のオンキヨーは4日、米同業サウンド・ユナイテッドへの家庭用オーディオ事業の売却を中止すると発表した。スピーカーやアンプなど連結売上高の約7割を占める主力事業だが売却の延期が続き契約完了のメドがたたなかった。売却で得た資金でOEM(相手先ブランドによる生産)事業を中核にする戦略を描いていたが、大幅な見直しを迫られることになる。

 オンキヨーは5月、家庭用オーディオ事業の米社への売却を発表した。7月1日までの完了を予定していたが、独占禁止法の審査などを理由に6月、7月と二度にわたり延期していた。

 その後も米サウンド社と協議を重ねてきたが、関連契約の締結や資金調達の確保といった条件を満たせず、期限である11月30日までに譲渡が完了できないと判断。4日の取締役会で譲渡の中止を決議した。

 家庭用オーディオ事業はオンキヨーの連結売上高の約7割を占める。この事業を7500万ドル(約80億円)で売却し、その資金をテレビメーカーへのスピーカーのOEM供給などの企業向け事業の強化に充てる方針だった。市場環境が厳しさを増すオーディオ事業を抱えつつ早期に新たな戦略を打ち出さなければならなくなった。

 8月にSBI証券を割当先とする新株予約権発行を決めるなど「当座の資金繰りには問題ない」(関係者)という。オンキヨーは財務体質の健全化や提携・協業について検討し、大規模な合理化策に向け準備するとしている。

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